2013年10月17日木曜日

携帯電話の基地局整備の在り方に関する研究会 第1回会合にて

2013年10月1日に、総務省による携帯電話の基地局整備の在り方に関する研究会 第1回会合を傍聴してきた。これまでも総務省では携帯電話サービスの不感地域の解消を目指した取り組みを行っている。

同研究会は、その一環として、山間部やトンネルなどにおける基地局整備がある。平時において、陸地と海上などに分類し、特に陸地では人の多い(住宅密集地や街中、地下鉄など)、少ない(山間部やトンネルなど)で区分している。

基本的に陸地ではキャリア主導のエリア整備が行われるが、山間部やトンネルなどではキャリア主導及び補助事業で基地局整備が行われる。一方、海上などでは衛星携帯電話サービスなど他の無線システムが利用可能であるため基地局整備は行われない。

実際に2005年度末に58万であったエリア外人口は、2012年度末には6万にまで縮小している。研究会の取り組みとともに、キャリアも確実な不採算エリア解消に努めてきた。

しかし、それでも6万のエリア外人口のため、現在も基地局整備の検討が進められるのだ。地方自治体は不感地域の解消を要望し、キャリアが不感地域の解消を担い、研究会が取りまとめを行っている。

実際の費用負担として、国や地方自治体、キャリアの負担割合は基地局と伝送路、世帯数で異なる。基地局に関しては、キャリアの負担は一切ないが、伝送路は国が10年間の伝送路利用料を半額程度負担し、11年目からはキャリアが全面負担する。こうした枠組みの中、基地局整備が進められていく。

表:基地局(鉄塔や局舎、無線機など)の費用負担
     100世帯以上 100世帯未満
国   :1/2(50%)  2/3(66.7%)
都道府県:1/5(20%)  2/15(13.3%)
市町村 :3/10(30%)  1/5(20%)


表:伝送路の費用負担
     100世帯以上 100世帯未満
国   :1/2(50%)  2/3(66.7%)
キャリア:1/2(50%)  1/3(33.3%)
※国は10年間の伝送路利用料を負担し、11年目からはキャリアが全額負担。


研究会を傍聴していて感じたのは、不感地域において、本当に携帯電話サービスが必要なのか、整備済みエリアにおける携帯電話サービスの利用実態はどうなのかといった現状把握の重要さである。

そして、何よりも重要な課題としては予算に行き着く。キャリアからの意見も予算面の問題が最も大きく、現行制度で不感地域の解消を進めれば進めるほど、残る地域は不採算エリアの中でも不感地域解消に最も費用がかかり、採算の取れないエリアとなる。

伝送路コストは明らかになっていないが、通常の2倍、3倍、ひいては5倍にまで費用が拡大する見込みとされる。11年目以降、全額負担となるキャリアとしては大きな問題である。

現状、エリア外人口が少なくなっているため、国庫補助金額による無線システム普及支援事業(携帯電話等エリア整備事業)の予算は減少傾向にある。にも関わらず、残された不採算エリアを整備するには、これまで以上に伝送路費用がかかるため、追加予算措置が欠かせない状況にある。

こうした問題以外にも、10年間という限定された国の伝送路費用負担の撤廃、その他の省庁からの予算引き出しなど検討すべき課題は多い。

参考URL
携帯電話の基地局整備の在り方に関する研究会
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/mobil_bs/index.html

執筆:大門太郎